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2006年02月12日

モーグルは速さ勝負!上村は遅い。

第7回実現(穴掘り)の編集が少し遅れているため、アップは月曜になります。すいません。

というのも、トリノオリンピックを見てるだけでなく実現せねばということで、「第8回実現 モーグルでスプレッドイーグルジャンプを決める」ってのを急遽やることになり、今日スキー場まで撮影に行ったからです。
詳しくは来週をお楽しみに。


さて、上村愛子選手は残念ながら5位。
7位(長野)→6位(ソルトレーク)→5位では、悔しいことでしょう。

実際にコブを滑ったことある人なら分かると思うが、「コブを速く滑る奴は偉い!」ってのがモーグルだと思う。モーグルの採点は、スピード、ターン、エアの3つの要素で決まるのだが、1~4位の選手は26秒台。上村は28秒台。これではエアが決まっても勝てない。


上村選手の「コークスクリュー720」という2つ目のジャンプ、ジャンプ自体は決まっているが、よく見ると踏切台でスキー板を「ハの字」にしてブレーキをかけている。これでは2つ目のジャンプ台から下を滑るスピードが下がってしまう。

以下は推測。詳しい方がいたら教えてください。
コークスクリューは、ジャンプ中にスキー板が進行方向に対し斜めになるため、着地地点でスキー板を進行方向(斜面真下方向)に戻すのが難しく、スピードがつきすぎて「回りすぎる」と着地できない。だから、踏切りスピードを自分なりの「一定の速度」に保つことが必要となり、結果として踏み切りで減速せざるを得ないのではないか。


これに対し、1位から4位の選手の第2ジャンプは3人が後方宙返り、1人が前方宙返り。ともにジャンプ中のスキー板の方向が常に進行方向に並行なままなので、多少スピードが速くても遅くても着地はなんとかなる。3位の選手など、ハイスピードで踏み切ったので体が縦方向に回りすぎて着地では尻もち直前だったがもちこたえ、エア自体は大きくなり、スピードは速い。


コークスクリューは、後方宙返りなど「縦回転」ジャンプに比べ、スピード抑制になるので損。その分、エアの点数が格段に高くないと割が合わないような気がする。
にもかかわらずなぜ上村はコークスクリューをやったか。


おそらく、速い滑りができないからであろう。スピードで勝てない以上、同じジャンプやっても絶対に勝てないので、難易度の高いジャンプで大逆転を狙うしかなかったのではないか。
上村選手の第1エア台から第2エア台の間の滑りはバタバタして不安定である。優勝したジェニファー・ハイルの速いのに安心してみていられる滑り、あれができないと金メダルはない。


上村選手はまだ26歳。
限界スピードを上げて、次のバンクーバーオリンピックで金メダルを期待したい。

投稿者 実現男 : 2006年02月12日 22:45

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コメント

なるほど!!
プロフェッショナルの解説、本当にありがとうございます。テレビでも、一読者さんのような解説を聞きたいですよね。
コークのせいではなく、ターンということですね。バタバタなターンでスピード上げるのはありえないので、結果としてターンがうまい人だけが速くすべれるってことありませんか。

投稿者 実現男 : 2006年02月13日 21:35

> バタバタなターンでスピード上げるのはありえないので、結果としてターンがうまい人だけが速くすべれるってことありませ
> んか。

それは勿論あります。
ターンが上手な人の典型例が里谷多英さんで、男子レベルのターンであると評されることも多いです。このため、ソルトレイクまでは、ターン点とタイム点の相乗効果で優位性を保っていました。
しかしながら、エアのレベルが年々急激にアップし、無理のある(?)エアを入れなければ上位が狙いにくくなってしまいました。里谷も上位を狙うためにフロントフリップ(前方宙返り)を入れましたが、着地も難しいですし、後藤さんの仰るように、スピード調整に神経を使ってしまうので、彼女の得意部分が活かせない結果となってしまいました。今シーズンから取り組み始めたため練習不足もあるでしょうが、フロントフリップは男子でもあまりやる人は居ません。思うに、難度点がさほど高くない割には着地点が最後まで見えず、高速で踏み切りを合わせるのが難しいのではないでしょうか。ですので、男子はコークやフルツイスト(体操で言うムーンサルト)が多く繰り出されると思います。
長野五輪の女子の金メダル(里谷)のエアは単なるコザック、男子の金メダル(ジョンモズ)のエアも単なるグラブヘリ(板を掴んで1回転)でしたから、隔世の感があります。
FISの公式ルール上、前後のフリップ(宙返り)やコークが解禁されたのはたった2年前ですから、エアについては技術も採点も試行錯誤の途上です。

ちなみに、エアで遠くに飛びすぎるとターンを省略したのと同じことになり、ターン点が減点され得ます。女子の滑りを見た限り、男子はかなりハイスピードでの戦いになりそうなコースですが、一方で第2エア台からゴールまでの間隔が通常より短いようなので、特に第2エアの「飛びすぎ」に要注意な感じです。ということは、第1エアから第2エアの間では猛スピードで飛ばしつつ、第2エア直前で急ブレーキをかけざるを得ません。
男子の場合は、後藤さんの目にとまった「ハの字」の減速はしませんが、よーく注意して見ていると、第2エア台の手前2つか3つ目のコブのあたりで、コブを強めに踏んづけて減速するのが判るんじゃないかと思います。
長々と失礼いたしました。

投稿者 一読者 : 2006年02月14日 01:33

こういう解説を知ってるともっと面白くテレビが見れます。「一読者」さん、ありがとうございます。
確かに技術進歩すごいですが、宙返り系のジャンプは、できるようになるまでの練習風景を想像するとぞっとします。ものすごい勇気がいるんでしょうね。
男子モーグルは日本時間で15日(水曜)の深夜。見逃さないようにしましょう。


投稿者 実現男 : 2006年02月14日 03:10

予選30位で敗退した日本の尾崎は、全35選手の中で最も早いタイムでゴールしてますね。
エアやターンで大きなミスは無いですし、難度点の高いエアを行っているのですが、エアのジャッジの点数がイマイチだったのと、あと何と言ってもターン点が低い点数しかもらえず、早さは1位なのに総合30位でした。
全く早さ勝負ではないことを如実に示す例でしたが、個人的には、東京の高校生がオリンピック予選最速でゴールしたのはスゴイと思いました。4年後に期待です。

投稿者 一読者 : 2006年02月16日 14:26

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